指標発表の前後でやってはいけないこと。スプレッド拡大と滑りで逆指値がずれる仕組み
- 発表の直前直後は、普段は狭いスプレッドが一時的に大きく広がることがある。原則固定のスプレッドも、指標時は対象外と注記している会社が多い
- 逆指値は条件に届いた時点で成行の注文になるので、値段が飛ぶと設定より不利な値段で約定する。これが滑り(スリッページ)
- 逆指値を外す、発表の瞬間に成行で飛び乗る。この2つは、どちらも滑りの影響をいちばん大きく受ける操作
米雇用統計の夜、21時半(冬時間なら22時半)の数秒で、ドル円が数十銭動くことは珍しくありません。初心者が痛い目を見るのは、たいてい方向を外したときではなく、取引の条件が変わったことに気づいていなかったときです。発表の前後で何が起きているのかを先に知っておけば、避けられる損がかなりあります。
発表の瞬間に変わる取引条件
FX会社が出している売値と買値の差がスプレッドです。ドル円なら普段は0.2銭前後の会社が多いですが、重要な指標の発表前後は、取引の相手になる銀行などが値段を出すのを控えるため、この差が一時的に広がることがあります。数秒から数分で戻ることが多い一方で、その数秒に注文を出すと、普段の何倍ものコストを払うことになります。
各社の口座説明をよく読むと、原則固定のスプレッドについて、指標発表時や早朝は対象外と注記していることがほとんどです。どの時間帯が対象外になるか、どれくらい広がった実績があるかは会社ごとに書き方が違います。気になる人は口座比較のページから各社の公式ページをたどって、注記の欄まで見ておくと安心です。
もう一つが滑りです。値段が一瞬で飛ぶと、注文を出した時点の値段では約定できず、次についた値段で約定します。これをスリッページと呼びます。成行注文は値段を指定しないので、滑ればそのまま不利な値段で約定します。指値注文は指定した値段か、それより有利な値段でしか約定しない代わりに、値段が飛び越えていくと約定しないまま取り残されます。どちらにも弱点があって、発表の数秒間はどの注文方法でも思いどおりにはいかない、と考えておくほうが実態に近いです。
逆指値を外す、近づけすぎる
発表前に逆指値に引っかかりたくなくて、逆指値をいったん外す人がいます。気持ちは分かりますが、いちばん危ない操作だと私は思っています。逆指値がない状態で予想と逆に数十銭飛べば、損失には上限がなくなります。
逆指値は、指定した値段に届いた時点で成行の注文に変わる仕組みです。だから発表時に値段が飛べば、設定した値段よりも不利なところで約定します。158円00銭に置いた逆指値が157円80銭で約定する、という形です。ずれはしますが、止まりはします。外していたら、止まるところがありません。
逆を言うと、近すぎる逆指値も考えものです。スプレッドが広がると、チャート上の値段がそこまで来ていなくても、決済に使う側の値段だけが逆指値に届いて約定することがあります。買いのポジションなら売値で判定されるので、売値が一時的に下へ広がっただけで切られます。発表をまたいで持つなら、逆指値はスプレッドが広がっても届かない程度の余裕を見て置き、その分ロットを落として損失額を合わせるのが筋です。
もう一つ、発表の直前に逆指値の位置を動かすのもやめておきたい操作です。逆指値をいったん取り消して置き直すやり方だと、そのあいだはポジションに逆指値がない状態になります。そこへ値段が飛んでくると、外していたのと同じことになります。逆指値を動かすなら、発表の30分前までに済ませておく。それ以降は触らない、と決めておくと迷いません。
私は発表の10分前にはポジションを軽くしています。正直、またがないのがいちばん楽です。
発表直後の飛び乗り
数字が出て大きく動いた瞬間に、成行で追いかけて入る。これも初心者がやりがちです。スプレッドが広がっている最中なので入る時点で不利な値段になりやすく、そのうえ最初の動きが数分で半分以上戻ることもよくあります。数字の中身が予想より良くても、前月分の修正や別の項目で解釈が変わり、反対に動き出すこともある。
急いで入らなくても、相場は逃げません。スプレッドが普段の幅に戻るまで、少なくとも数分は待つ。発表から15分ほどたって、値動きが落ち着いた形を見てから考えても遅くないと思います。待っているあいだにコーヒーを淹れ直すくらいがちょうどいいです。
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