協調介入の中身、日本が2日で11兆円超で米国は最大100億ドルだった
- 日本側の介入は7月30日が約8兆4500億円、31日が約5兆3300億円と推計されている
- 米側はベッセント財務長官の手元メモに50億〜100億ドルとあったとロイターが報じた
- 米財務省はNY連銀を通じて複数の銀行に事前に伝えたそうで、介入としては異例
先週の介入について、金額の推計が出そろってきました。日本側は7月30日が約8兆4500億円、31日が約5兆3300億円だそうです。2日で11兆円を超えます。一方の米側は50億ドルから100億ドルだったとロイターが伝えていて、円にすると1兆円前後。同じ協調介入という言葉でくくられていますが、撃った弾の量は桁が一つ違います。それでもドル円が163円台から155円台まで落ちたのはなぜか。夜通し見ていて、そこが一番引っかかりました。
1. 推計された金額
財務省が実額を出すのはもう少し先なので、いま出回っている数字は市場の推計です。日銀が公表する当座預金の増減要因と、短資会社の事前予想との差から逆算するやり方だそうです。7月30日分が約8兆4500億円、31日分が約5兆3300億円と伝えられています。日本経済新聞は30日を6兆円から7兆円、31日を5兆円規模としていたので、推計する人によって幅は出ます。
それでも2日で11兆円を超えるという規模感は各社おおむね共通しています。今年4月から5月にかけての円買い介入が1か月で11兆7000億円だったと報じられていましたから、そのときと同じだけの金額を2日で使った計算になります。
これを多いと見るか少ないと見るかですが、私は当局がかなり急いでいたのだと受け取りました。164円が目前に迫っていた局面ですから、じわじわ効かせる余裕がなかったのでしょう。
2. 米側が出した量
米財務省はニューヨーク連銀を通じて円買いに動いたそうで、ロイターによれば閣議の場でベッセント長官の手元にあったメモに、日本円を50億ドルから100億ドル購入と書かれていたとのことです。円に直すと8000億円から1兆5000億円くらい。日本側の11兆円に対して1割前後です。
ここで私が引き受けたい見方を書いておきます。今回相場に効いたのは金額ではありません。米国が円安を容認しないという署名が入ったこと、それ自体が材料でした。円買いで日米が足並みをそろえたのは1998年以来の28年ぶりだそうで、市場が見ていたのは兆単位の数字ではなく、その事実のほうだったはずです。
反対の見方も当然あります。11兆円を投じたから止まったのであって、米国の参加は飾りだという整理も成り立ちます。ただ、それなら4月から5月に同じ額を使ったときに、これほどの急落は起きていないはずです。私は署名のほうを主因に数えます。
3. 事前に伝えたという異例
もうひとつ引っかかったのが、米財務省がニューヨーク連銀を通じて複数の銀行に、その日に円買い介入がある可能性と、それに備えるよう伝えていたという報道です。
介入は不意打ちで効かせるものだというのが、これまでの常識でした。手の内を先に見せれば、身構えられて効きが悪くなる。今回はその逆をやっています。
予告して市場に身構えさせられるなら、実際に投じる金額は少なくて済みます。米側の金額が1兆円前後にとどまったこととは、きれいに筋が通る話です。ただし予告が効くのは、相手が本気だと思っているうちだけでしょう。二度目からは、言うだけで動かない当局と見なされる危険もあります。今後この手が繰り返されるかどうかは、私も見ものだと思っています。
4. 8月末の答え合わせ
財務省は外国為替平衡操作の実施状況を月次で出しています。直近の公表分は6月29日から7月29日までが対象でしたから、30日と31日の介入は次回の公表に入ります。実額が出るのは8月末です。
推計より大きければ、当局は思ったより踏み込んでいたことになります。小さければ、市場が当座預金の動きを読み違えていたことになる。どちらにしても、8月末に日程がひとつ増えたと覚えておけば十分です。
その頃までに158円台を回復して落ち着いているのか、それとも次の介入が話題になっているのか。今の時点では分かりません。
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- 日本の7月31日の為替介入は約5兆3300億円規模の可能性…日銀当座預金が示唆東洋経済オンライン(2026年8月3日)
- 米財務省も円買い介入示唆、異例の予告「複数の銀行に伝達」日本経済新聞(2026年7月31日)
- 日米 追加協調介入も辞さず 米当局のドル調達の仕組み活用でNHK(2026年8月4日)
- 外国為替平衡操作の実施状況(月次ベース)財務省