ドル円を動かしたのは介入ではなく一言、ベッセント発言で焦点は金利へ
- ベッセント米財務長官の「介入の効果維持には追加措置が必要」との発言でドル円は157.20円まで下落
- 追加措置は日銀の利上げを指すとの見方が多く、為替の焦点が介入から金利へ移りつつある
- 今日の予想レンジは156.50円から158.50円。前日までより幅が縮み、荒れ方は落ち着いてきた
昨日のニューヨーク市場で、ドル円は157.96円まで買われたあと157.20円まで押し戻され、終わってみれば157.84円付近でした。値幅は0.75円ほど。先週から続いた介入相場の荒れ方を思えば、だいぶ穏やかな一日です。ただ、その中で相場が一度だけはっきり反応した場面がありました。ベッセント米財務長官の「追加措置」という言葉です。
1. 昨夜の値動きと、反応した一言
一日の流れとしては、まず日米協調介入による調整が一巡したという見方から、リスクオンの円売りが先行したそうです。米イランの和平合意への楽観も乗って、ドル円は157.96円まで買われました。ここまでは介入前の水準を取り戻す動きでした。
そこから円買いに傾いたきっかけが、ベッセント財務長官の発言だと報じられています。介入の効果を保つには追加措置が必要だ、植田日銀総裁は必要な措置を講じると確信している、という趣旨だったようです。ドル円は157.20円まで。下げ幅は0.7円ほどで、介入のときのような瞬間的な数円の動きではありません。市場もすぐ何かが起きるとは受け取らなかったのだと思います。同じ時間帯に6月のJOLTS求人件数が減って米長期金利が下がっていたので、そちらの影響も混ざっています。
2. 追加措置が指しているもの
この追加措置が日銀の利上げを指しているのは、まず間違いないと私は見ています。ベッセント長官は以前から、円安の処方箋は為替介入ではなく日本側の金利だという立場を取ってきたと伝えられていて、今回の言い回しもその延長にあります。介入について問われて「日本と緊密に連携している」と答えるにとどめたのも、介入そのものを主役に据えたくない姿勢の表れでしょう。
トレーダーとして気になるのは、これが相場の見どころを移す発言だという点です。介入は当局がいつ動くか分からないので、水準に対する警戒として効きます。金利のほうは日程が決まっている。日銀の会合という具体的な日付に向けて思惑が積み上がる形へ、少しずつ変わっていきます。値動きの理由が読みやすくなる代わりに、イベント前後の跳ね方は大きくなりやすい。
もっとも、実際に利上げが早まるかどうかは別の話です。米財務長官に促されて動いたと見られるのは日銀としても避けたいはずで、素直に反応する保証はありません。ここは私にも読めないので、決めつけずに置いておきます。
3. 今日の157円台をどう見るか
外為どっとコムは今日の予想レンジを156.50円から158.50円としています。昨日までの3円幅から2円幅へ縮みました。介入直後の緊張が一段落したという読みだと思います。同社の中村勉氏は、日米当局の追加介入がなければ下値も限られ、じりじりと上値を試す展開が続きそうだと書いていました。
東京時間は157.80円付近から157.44円あたりまで下げる場面がありました。上値が重い理由は単純で、介入がもう一度あるかもしれないと考えている人が残っているからです。一方で下も限られる。上下から押さえられて、方向感の出にくい形になっています。ベッセント長官がホルムズ海峡の開放でイランと今日明日にも合意する可能性に触れたそうで、原油安を通じたドル売りと、中東の緊張緩和によるリスクオンの円売りが、同じ時間帯に混ざっている状態です。
こういう日に無理やり方向を取りにいくと、往復で削られて終わります。金曜の米雇用統計まで材料待ちの時間が続きそうなので、手を出す回数を減らすくらいでちょうどいい。私は今日は見ている時間のほうが長くなると思います。
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